NPO法人 日本妊産婦整体協会は、整体の調整や矯正、ストレッチ体操を用い、多くの妊産婦さんが悩む切迫早産に対応できるテクニックを学ぶセミナーや講座を開講しています。より短時間でしっかりと整体のテクニックが学べます。会員向けのフォローアップ指導も行います。

  • 妊産婦整体協会で学んだ技術を現場に生かした助産師さんのレポート

    2017年5月22日

    セミナー参加者の声です。妊産婦整体協会で学んだ技術を現場に生かした助産師さんのレポートです。

    39週の初産婦さん。 尿蛋白(++)、血圧も若干高め、ベビーの体重小さめ、妊娠高血圧症候群(PIH)と診断され、症状が悪化する前に分娩へ…ということで、誘発目的で入院。2日間誘発しても分娩にならなかったり、血圧が高くなるようなら帝王切開の可能性もある状況(ダブルセットアップ済み)でした。 ちなみに、ご本人は経腟分娩を希望。

    【入院1日目】 お腹の張りもなく、ビショップスコア1点(子宮口2cm、30%、-3、硬、後)のため、最近は使わない病院が多いですが、内服(PGE2 )で陣痛誘発をしました。3錠目あたりからお腹は張るものの陣発はせず、結局6錠目を内服する頃には『眠い…。』とウトウトしていました。
    このままでは帝王切開の可能性が高くなる…ということで、5錠目内服後に妊産婦整体セミナーで学んだことを実践することに。

    □視診・触診による身体所見
    ・右の骨盤が内側に入り込み、仰臥位で右足が内旋の状態。身体が時計回りにねじれている。
    ・子宮は縦長に楕円形でかなり左に傾いている。
    ・児の児背が不明瞭 ・上行結腸、下行結腸が硬い。
    ・四肢、腹部の冷たさを感じる(冷え性)

    □行った手技 ・胸郭と背部を緩めるストレッチ
    ・大腸(L4)を緩めるストレッチ
    ・小腸(Th10.11)を緩めるストレッチ
    ・骨盤のストレッチ
    ・骨盤の矯正(ひらく→とじる→ひらく)
    ・足の小指を牽引

    □結果
    ・お腹は丸くフワフワになり、ご本人さんも『お腹の形が変わった』と驚いていました。
    ・左に傾いていた子宮は真ん中に。
    ・左側の癒着が強いのに、右側の腰痛を訴えていたため、虫垂炎の既往を確認したところ、昨年虫垂炎になったと。徳元先生の話していた通りだと驚きました。 結局、1日目は誘発剤を内服するも不発に終わり、夜間は熟眠できたそうです。

    【入院2日目】 朝4時頃より不規則に痛みがあり。 7時半の診察所見(2cm、50%、-3、中、後) 8時頃より10分間隔に痛みあり。陣発。 所見悪いため、9時より誘発剤を3錠(9時・10時・11時)内服指示あり、9時の内服と同時にケア。

    □視診・触診所見
    ・右の骨盤が内側に入り込み、仰臥位で右足が内旋の状態。身体が時計回りにねじれている。 ・前日よりはましだが、子宮は左に傾いている。 ・上行結腸、下行結腸が硬い。 ・有効な子宮収縮がある。

    □行った手技
    ・バスタオルを使った小腸を緩めるストレッチをしながら、骨盤矯正(ひらく→とじる→ひらく)
    ・足の小指を牽引

    □結果
    ・ケアを行った30分後には、かなり痛みが強くなり、10時半には痛みが腰部へ。血液分泌物も増えてきたため内診。所見(7cm、70%、-2、軟、前)に。2時方向に大泉門。
    骨盤の歪みあるが、子宮口は丸く開大。 回旋が悪いため、四つん這いで経過観察。

    13時半、子宮口全開も0時方向に大泉門。 側臥位や四つん這いで回旋の改善試みるも、前方前頭位のまま児頭下降し、胎胞排臨。 仰臥位になると骨盤の違和感を訴えたため、右側腸骨の下にバスタオルを入れ、努責はさせず、蹲踞位にて呼吸法を続ける。
    児頭ゆっくり下降するも、出口部を通過するのは難しく、児心音低下し始めたため鉗子分娩にて14時58分に児娩出となる。 分娩経過中、血圧は120~130。 入院時の所見も悪く、PGE2も反応しなかったため、スタッフの間でも午後から帝王切開できるように進めていました。最後は、回旋異常のため鉗子分娩になってしまったものの、帝王切開は回避できました。予想外の進行に私も驚きましたが、スタッフも驚いていました。

    学んですぐの未熟な手技でも、結果が出るのが凄いです。助産師がこの手技を習得することで、現場は変わると思います。 徳元先生ありがとうございます。 今後も学びたいと思いますので、よろしくお願いいたします。