【陥没乳頭の褥婦さんに妊産婦整体のケアを取り入れた結果】

(対象)
経膣分娩で4人目を出産した褥婦さん。
陥没乳頭のため、上の3人の子どもは上手く吸うことができず、いつも泣きながら授乳をしていた記憶しかない…と。結局、母乳育児の確立はできず。 今回は母乳育児希望。

(経過)
[産褥2日目]
乳房が緊満し始める。
乳腺が硬く、乳輪の伸展性も悪い。
分泌はにじむ程度。
(この日は担当ではなく情報のみ)

[産褥3日目]
乳房緊満(+)、乳輪周囲が発赤し痛み軽度
分泌はタラタラ流れるが、乳房緊満により乳輪の伸展性はさらに悪くなり、自己搾乳は難しい。介助で20ml程度搾乳可能。
直母は難しく、母乳相談室の乳首使用。
ケア→
・セルフマッサージを教える
(乳房緊満解除+乳輪の浮腫解除の解除)
・◯◯式乳房マッサージ
結果→
・マッサージ後は乳房緊満軽減するが、次の授乳時間には緊満強く、自己搾乳は難しい。

[産褥4日目]
乳房緊満(++)で、ほとんど可動なし
乳房全体が発赤し痛みあり
自己搾乳できず、介助で20~30ml
時間をかけないと皮膚を損傷しかねない状態
直母は難しく、母乳相談室の乳首やニップルを使用しても直母量にはつながらず
ケア→
・妊産婦整体で学んだ手技
バスタオルで胸背部のストレッチ
徳元式で遠隔で緩める
結果→
・乳房緊満が軽減し可動良好に。乳房全体にあった発赤や痛みが軽減。乳輪の伸展性も改善され、乳頭が陥没から扁平へ。自己搾乳で10mlできるようになる。
指導→
・乳房の状態が改善されたのは、徳元式で緩めたことにあると思い、セミナーでは施術者が行う方法をセルフでできないかと考え、ポイントを押さえていれば大丈夫だろうと勝手にアレンジした方法を褥婦さんに教え、バスタオルを使用するストレッチ+徳元式で緩めるストレッチを授乳前に必ず行ってもらうように指導。

[産褥5日目]
乳房緊満(±)~(+)、発赤(±)、痛みなし
乳腺は硬めで乳輪の伸展性はいまいち
乳頭が1㎝ほど突出(きれいに丸く突出)
完全陥没だった左側は自己搾乳10ml程度にとどまっていたものの、トータル40~50mlの自己搾乳が可能になる。
乳頭は突出したものの伸展性が悪いため、直母量は1桁だか、笑顔で授乳。『頑張れそうです』と前向きな言葉が聞かれる。


まず始めに…。
徳元先生
教えていただいた手技を勝手にアレンジしてしまい、すみませんでした。そして、そのことをお話させていただいた時に、セルフケアで教えるなら…と、効果的な手技を丁寧に教えていただき、本当にありがとうございました。


妊娠・出産・育児、1番長い育児期間で悩みの多くは母乳育児だと、これまで色々な手技を学び、桶谷にも通いました。しかし、陥没乳頭の矯正は難しく、母乳外来のない現在の病院では退院後のフォローもできず、母乳育児を希望しているお母さん達が母乳育児を諦める姿を見ていることしかできませんでした。今回も何も出来ないのかな…と思いつつ、苦痛だけは軽減したいとの思いでケアをさせていただいたところ、対象のお母さんも真面目にストレッチを続けてくださり、乳房緊満の改善だけでなく、陥没乳頭が治ってしまうという結果に繋がりました。『あれ?乳首がある』と驚くとともに、お母さんと一緒に嬉しくて涙してしまいました。

徳元先生の教えてくださる手技は、乳房に直接触れることはないので、妊娠中から乳房を良い状態にすることが可能になると思います。お産後も苦痛なくケアができ、お母さん達にも喜ばれると思うので、もっともっと多くの助産師さんに妊産婦整体を学んでほしいです。