セミナー参加者の声です。妊産婦整体協会で学んだ技術を現場に生かした助産師さんのレポートです。
39週の初産婦さん。 尿蛋白(++)、血圧も若干高め、ベビーの体重小さめ、妊娠高血圧症候群(PIH)と診断され、症状が悪化する前に分娩へ…ということで、誘発目的で入院。2日間誘発しても分娩にならなかったり、血圧が高くなるようなら帝王切開の可能性もある状況(ダブルセットアップ済み)でした。 ちなみに、ご本人は経腟分娩を希望。
【入院1日目】 お腹の張りもなく、ビショップスコア1点(子宮口2cm、30%、-3、硬、後)のため、最近は使わない病院が多いですが、内服(PGE2 )で陣痛誘発をしました。3錠目あたりからお腹は張るものの陣発はせず、結局6錠目を内服する頃には『眠い…。』とウトウトしていました。
このままでは帝王切開の可能性が高くなる…ということで、5錠目内服後に妊産婦整体セミナーで学んだことを実践することに。
□視診・触診による身体所見
・右の骨盤が内側に入り込み、仰臥位で右足が内旋の状態。身体が時計回りにねじれている。
・子宮は縦長に楕円形でかなり左に傾いている。
・児の児背が不明瞭 ・上行結腸、下行結腸が硬い。
・四肢、腹部の冷たさを感じる(冷え性)
↓
□行った手技 ・胸郭と背部を緩めるストレッチ
・大腸(L4)を緩めるストレッチ
・小腸(Th10.11)を緩めるストレッチ
・骨盤のストレッチ
・骨盤の矯正(ひらく→とじる→ひらく)
・足の小指を牽引
↓
□結果
・お腹は丸くフワフワになり、ご本人さんも『お腹の形が変わった』と驚いていました。
・左に傾いていた子宮は真ん中に。
・左側の癒着が強いのに、右側の腰痛を訴えていたため、虫垂炎の既往を確認したところ、昨年虫垂炎になったと。徳元先生の話していた通りだと驚きました。 結局、1日目は誘発剤を内服するも不発に終わり、夜間は熟眠できたそうです。
【入院2日目】 朝4時頃より不規則に痛みがあり。 7時半の診察所見(2cm、50%、-3、中、後) 8時頃より10分間隔に痛みあり。陣発。 所見悪いため、9時より誘発剤を3錠(9時・10時・11時)内服指示あり、9時の内服と同時にケア。
□視診・触診所見
・右の骨盤が内側に入り込み、仰臥位で右足が内旋の状態。身体が時計回りにねじれている。 ・前日よりはましだが、子宮は左に傾いている。 ・上行結腸、下行結腸が硬い。 ・有効な子宮収縮がある。
↓
□行った手技
・バスタオルを使った小腸を緩めるストレッチをしながら、骨盤矯正(ひらく→とじる→ひらく)
・足の小指を牽引
↓
□結果
・ケアを行った30分後には、かなり痛みが強くなり、10時半には痛みが腰部へ。血液分泌物も増えてきたため内診。所見(7cm、70%、-2、軟、前)に。2時方向に大泉門。
骨盤の歪みあるが、子宮口は丸く開大。 回旋が悪いため、四つん這いで経過観察。
13時半、子宮口全開も0時方向に大泉門。 側臥位や四つん這いで回旋の改善試みるも、前方前頭位のまま児頭下降し、胎胞排臨。 仰臥位になると骨盤の違和感を訴えたため、右側腸骨の下にバスタオルを入れ、努責はさせず、蹲踞位にて呼吸法を続ける。
児頭ゆっくり下降するも、出口部を通過するのは難しく、児心音低下し始めたため鉗子分娩にて14時58分に児娩出となる。 分娩経過中、血圧は120~130。 入院時の所見も悪く、PGE2も反応しなかったため、スタッフの間でも午後から帝王切開できるように進めていました。最後は、回旋異常のため鉗子分娩になってしまったものの、帝王切開は回避できました。予想外の進行に私も驚きましたが、スタッフも驚いていました。
学んですぐの未熟な手技でも、結果が出るのが凄いです。助産師がこの手技を習得することで、現場は変わると思います。 徳元先生ありがとうございます。 今後も学びたいと思いますので、よろしくお願いいたします。